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歯が「割れた」「ヒビが入った」と言われたら?歯根破折の基礎知識

歯根破折
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「抜歯しかない」と言われたけど本当に?歯根破折はどんな病気で、どんな治療ができるのか。症状・原因・治療法まで、歯科医師がわかりやすく解説します。

この記事の目次
  1. 歯根破折とは何か
  2. こんな症状があったら要注意
  3. 歯根破折の種類
  4. なぜ歯根破折は起こるのか
  5. 歯根破折の診断方法
  6. 治療の選択肢
  7. 放置するとどうなるか
  8. よくある質問

1. 歯根破折とは何か

歯根破折(しこんはせつ)とは、歯の根の部分(歯根)にひびや割れが生じた状態のことです。英語では「Vertical Root Fracture(VRF)」とも呼ばれます。

歯はエナメル質・象牙質・セメント質という層で構成されており、歯ぐきより下の「歯根」部分が折れたり割れたりすることで、強い炎症や感染を引き起こします。

骨折した骨と違い、歯根は自然にくっつくことはありません。そのため、放置すると症状が悪化し、最終的に抜歯になるケースも少なくありません。しかし、適切なタイミングで適切な治療を受ければ、歯を残せる可能性があります。

2. こんな症状があったら要注意

歯根破折は自覚症状が出にくく、発見が遅れがちな疾患です。次のような症状がある場合は、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

歯根破折の主な症状チェックリスト
  • 噛んだときに鋭い痛みや違和感がある
  • 特定の歯だけ歯茎が腫れている・繰り返し腫れる
  • 歯茎にニキビのような白い膨らみ(瘻孔)がある
  • 神経を取った歯(被せ物がある歯)が痛む
  • 以前治療した歯のまわりの骨が溶けていると言われた
  • 歯周病治療をしてもなかなか改善しない

特に「神経を取って被せ物をしている歯」は、痛みを感じにくいため、かなり進行してから発覚するケースが多いです。定期検診が早期発見のカギになります。

3. 歯根破折の種類

一口に「歯根破折」といっても、割れの方向や位置によってタイプが異なります。

種類 特徴 治療の難易度
縦破折(VRF) 歯根が縦方向に割れる。最も多いタイプ 高い(抜歯になることが多い)
横破折 歯根が横方向に割れる。破折位置が高い場合は保存できることも 中程度
斜め破折 斜めに割れる。破折線の位置によって異なる 中程度〜高い
不完全破折(ひび) 完全には割れていない段階。早期発見で保存できる可能性が高い 低い〜中程度

縦破折は特に症状がわかりにくく、抜歯を避けるためには早期発見・早期治療が重要です。

4. なぜ歯根破折は起こるのか

歯根破折の原因は大きく分けて「歯の構造的な問題」と「外からの力」の2つです。

神経を取った歯(失活歯)は特にリスクが高い

根管治療(神経を取る処置)を行った歯は、水分や栄養が歯根に届かなくなります。結果として歯がもろくなり、咬む力に耐えきれず破折しやすくなります。統計的に、歯根破折の多くは根管治療済みの歯に発生しています。

主な原因一覧

  • 根管治療による歯根の脆弱化
  • 金属製の土台(メタルコア)による楔効果
  • 歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)
  • 硬いものを噛む習慣(氷・飴・するめなど)
  • 外傷・転倒・スポーツ事故
  • 過度に薄くなった歯壁(過去の大きな虫歯治療)

5. 歯根破折の診断方法

歯根破折は、一般的なX線(レントゲン)では発見が難しいとされています。特に初期のひびは写真に写らないことが多く、見落とされてしまうケースもあります。

当院で行っている診断方法

  • 歯科用CT(CBCT):三次元的に骨の状態や破折線を確認できる。最も精度が高い
  • トランスイルミネーション:光を当てることでひびの位置を確認
  • 染色検査:破折線に染料を流し込み、目視で確認
  • プローブによる歯周ポケット測定:縦に深い骨吸収が見られる場合は破折を疑う

6. 治療の選択肢

歯根破折と診断されても、必ずしも抜歯とは限りません。破折の程度・位置・感染の範囲によって、以下の治療が検討されます。

保存できる可能性がある場合

  • 意図的再植術:いちど歯を抜いてから破折部分を接着・修復し、再び植え直す方法。高度な技術が必要だが、抜歯を避けられる可能性がある
  • 歯根分割(ヘミセクション):複数の根を持つ歯の場合、割れた根だけを除去して残りの根を保存する方法
  • 接着処置(不完全破折の場合):完全に割れていない段階であれば、接着材料で固定できることも

抜歯が必要な場合

残念ながら、縦破折が深く進行していたり、感染・骨吸収が広範囲に及んでいる場合は抜歯が最善の選択になります。その後はインプラント・ブリッジ・入れ歯などで補う治療に移行します。

ポイント

「他の病院で抜歯と言われた」場合でも、診断のタイミングや技術によって見解が異なることがあります。セカンドオピニオンとして当院を受診されるケースも多くあります。お気軽にご相談ください。

7. 放置するとどうなるか

歯根破折を放置すると、破折部分から細菌が侵入し、根の周囲の骨(歯槽骨)が溶け続けます。炎症が広がると隣の歯にも影響が出ることがあり、最終的には複数の歯を失うリスクも生じます。

「痛みが治まった」「気になるけど忙しい」という理由で先延ばしにすると、選べる治療の選択肢が狭まってしまいます。早めの受診・早めの判断が、歯を守ることにつながります。


8. よくある質問

Q. 歯根破折は予防できますか?
A. 完全な予防は難しいですが、歯ぎしり・食いしばりがある方はナイトガード(マウスピース)の使用が有効です。また、硬い食べ物を控えること・定期検診で早期発見することが重要です。

Q. 根管治療をした歯はすべて折れやすいのですか?
A. リスクは上がりますが、必ずしも全員が折れるわけではありません。被せ物の材質(金属コアを避けてファイバーコアにする)や、咬み合わせの管理で予防できます。

Q. 歯根破折の治療は保険が使えますか?
A. 診断(レントゲン・検査)は保険適用です。意図的再植術など一部の保存治療は自費になる場合があります。費用については診察時にご説明します。

Q. 歯根破折と歯周病はどう違うのですか?
A. 症状が似ていることがありますが、原因が異なります。歯根破折は歯の根が物理的に割れている状態、歯周病は細菌による歯周組織の炎症です。正確な診断のため、CTや詳しい検査が必要です。

噛むと痛い・歯茎が繰り返し腫れるなど、気になる症状があればお早めにご相談ください。

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